SDGsなカスタムパソコン

こんにちは、AKIRAです。

気が付けば9月ももう最終日。夏の暑さは過ぎ去りましたが、次々やってくる台風は困りもの。先日、高校生の息子さんと一緒にいらっしゃったお客様も「最近PCの調子が悪くて、起動すらしない。台風で自宅の近所に落雷があったので、その影響かもしれない」とお悩みのご様子でした。話を聞くと、2年前ぐらいにパソコンのBTOショップが出している「組立てPCキット」を買って、当時中学生だった息子様が自作したデスクトップパソコンだと伺いました。まずは、起動しなくなった頃の状況などを聞いて、症状の確認をしました。

確かにCPUファンは回り、マザーボードのLEDが光るものの画面は真っ暗。いったんお預かりすることにしました。さっそくフタを開けてみます…。

フタを開けたばかりの状態。なにかがおかしい…。

主にゲームに使用するので、ゲーミングパソコンともいえるスペックです。マザーボード、CPU、グラフィックスカード、やや不精な配線。この時、すぐにおかしなことに気が付きました。みなさんは、お気付きになったでしょうか?(といっても、写真では分からないですよね)

  • CPUファンがマザーボードに固定されてなく、触るとグラグラする
  • CPUとCPUファンの間のグリスが完全に蒸発してしまっている
  • マザーボードのCPU補助電源用の電源ケーブルが挿さっていない
  • 2.5インチSSDのSATAケーブルが甘挿し
  • マザーボードにブザーが付いていないため、起動時のエラーも分からない
  • 筐体のあちこちが錆びている
補助電源もなく、冷却もされず故障していったIntel i5 9400F
特に錆びがひどい背面

最初、ケースのあちこちが錆びているので、2年間でこんな状態になるのかと疑っていました。が、ぱっと見ると正しく組みあがっていないことが分かります。当時中学生の息子さんがひとりで組み立てたそうなので、よくこの状態で動いているなぁと感心もしつつ。あちこちいろいろと調べてみました。結果、CPUとマザーボードが故障していることが分かりました。CPUの故障って結構珍しいのですが、冷却されていなかったので仕方ありません。

CPUとマザーボード以外のパーツは故障していませんでしたが、2.5インチのSSDにも被害がありました。簡潔にいうと、パーティションテーブルが破壊されていて、Windows10が起動できなくなっていました。ハードウェアトラブルで電源が突然切れたことが原因でしょう。さっそくお客様に連絡すると、組立ではなく既製品のゲーミングパソコンが欲しいと。いやいや、高価なGPUやらSSDとかがもったいないですよとアドバイスして、生きているパーツを流用して新たにパソコンを組み立てることになりました。

新旧のパソコンの部品を並べてみます。箱に入っているのは新品パーツ。

壊れていたCPU、マザーボードはもちろん交換です。ほかにCPUファン、m.2のSSDやPCケースを新調します。ということで、さっそく組み立てていきます。

まずは、ケースを開けてパーツの配置や配線をイメージしつつクリアランスも確認しておきます。

先に光学ドライブと全面ファンを装着しただけのケース。これにどんどん部品を組んで入れていきます。

ベースとなるマザーは、ASUSのエントリー~ミドルクラスに位置づけされるPRIMEのH610。これにCPUを乗せて、CPUファンを装着していきます。

マザーボード開封!
CPUファン。中央の黒いものが旧PCのリテールファン。そして新CPUのファンは手前左から、ヒートシンク、ファン、固定金具。

CPUとCPUファンは間にグリスを付けてあげないと、CPUの熱がCPUファンのヒートシンクに伝わりにくくなります。このとき薄く塗らないと熱伝導率が逆に悪化してしまいます。(とはいえ、塗らないよりはよいかもしれません)

画面中央にあるのがオマケグリス。左に見えるのが気合の入った高級グリス。冷却性能が格段に違います。1gうん千円。
画面中央のグレーの部分がグリスです。CPUの表面に薄く平らに塗るのがポイント。

CPUにCPUファンを乗せて、マザーボードにもしっかりと固定します。マザーボードはMicroATXなのでやや小ぶりですが、CPUファンを乗せると結構迫力があります。次いでm.2 SSDです。Western Digital社製のNVMe接続のPCIeタイプです。これ、劇速なんですよ。当然、m.2 SSDにも放熱用のヒートシンクを装着しておきます。意外と発熱するんですよ、SSDって。

上部の黒いのがマザーボードに搭載したCPUファン。ヒートシンクもファンも大きいです。
m.2 SSDに装着するヒートシンク。これはケースの前面ファンからの冷却効果を向上させます。

そして、パソコンの中でもっとも重要なパーツ。電源です。電源が貧弱だと困ります。今回の組立PCは、最も電力を消費するCPUとGPUだけでなく、搭載されるすべてのパーツから計算すると約245Wでした。GPUなど今後アップグレードする可能性もあるので、やや多めにみて300~400W。ですが、常用で約50~80%程度の負荷が一般的に良いので、CORSAIRの550W電源を選定しました。

安定性において定評のあるCORSAIRのATX電源
ATX電源本体と、それから伸びる太い電源ケーブル

この電源をケースに取り付けてから、その他のパーツをどんどん搭載していきます。

  • メモリー8GBx2(流用)
  • グラフィックスカード(流用)
  • 2.5インチSSD(流用)
  • 光学ドライブ(流用)
  • ケース前面用12cmPWMファン(新品)

写真を撮りつつ、テキパキと組み立てていって約2時間後。ようやく完成しました。

組みあがったパソコンの内部。ケーブルも丁寧に配線しつつ、グレードアップしました。

いかがでしょうか?電源やSATA、I/Oパネル、USB3などのケーブルは、こちらからは見えない裏面配線です。空気の流れがよくなり、効率よく冷却できるようにしています。

(左)新しいパソコン (右)部品を抜いた旧パソコン

新・旧のパソコンを並べてみました。両方ともケースが黒色なのですが、右の方には光学ドライブがありません。また、新しい方のパソコンにはCPU付属のIntelシールを貼っておきました。この後、電源をいれてUEFI(BIOS)の初期設定の後、3つのファンの調整をしておきました。内部の温度によってファンの回転を変えることで、冷却性と静音のバランスをとっています。最後に、Windows10をインストールして、ドライバーソフトなどをインストールして完成!

これで新しくパソコンを買うよりも安くできたので、お客様にもたいへん喜んでいただきました。これからパソコンを自作する方には頑張ってもらいたいですが、組立に自信のない方は当社にご相談ください。パーツの組み合わせは人の個性と同じで無数にあります。せっかく組み立てたパソコンなので、大事に使ってもらいたいものです。

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