レトロパソコンケースの再利用計画、最新のパーツで蘇る!

アビッツのAIです。
例年であれば2月は積雪がそこそこあって気温は0度近辺。もう春が待ち遠しい季節なのですが、最近は日によって晴天だったり雪が降ったりと、日本海側は天気が不安定です。

先日猛吹雪の中、20年前の重厚なPCケースを活用したカスタムPCの再構築を依頼されました。お客様は長年PhotoshopやIllustratorを愛用しており、最新のWindows 11へのアップグレードを希望されていました。しかし、現在のシステムは第7世代のIntel Core i5-7400プロセッサー、ASUSのH270 PRIMEマザーボード、32GBのDDR4-2133メモリ、2~3台のHDD、そして3台の光学ドライブ(DVDおよびBD)という構成で、Windows 11の要件を満たしていませんでした。それはお客様自身も把握していてましたので、ケースの中身を最新のパーツで組み立て直して欲しいという依頼を受けました。

重厚で無骨な存在感を放つ筐体。
BD/DVDドライブが3台内蔵されているのも今は珍しいです。
重厚で無骨な存在感を放つ筐体。BD/DVDドライブを3台内蔵するヘビーユーザー仕様です。

お客様のご要望は、可能な限り既存のパーツを流用しつつ、コストパフォーマンスに優れたシステムへのアップグレードです。特に、愛着のあるケースを引き続き使用したいとのことでした。最近流行のヒカリモノや透けるケースにはまったく魅力を感じない硬派なユーザーです。そこで、CPU、マザーボード、ストレージの3つを中心にアップグレードを提案しました。

側面パネルを開けて中を見ると空中配線になっていましたが、簡単に掃除してから来られたそうです。嬉しいですね。
側面パネルを開けて中を見ると空中配線になっていましたが、簡単に掃除してから来られたそうです。嬉しいですね。
側面。3.5インチシャドゥベイは空いていますが、ここにHDDを積んでいたそうです。
側面。3.5インチシャドゥベイは空いていますが、ここにHDDを積んでいたそうです。

まず、CPUにはAMDのRyzen 5 5600を選定しました。このプロセッサーは6コア12スレッドで、ベースクロックが3.5GHz、最大ブーストクロックが4.4GHzと高性能でありながら、価格も手頃です。内蔵GPUは搭載していませんが、外部GPUを追加することでコストと性能のバランスを解決しました。

今回交換する主要パーツ。マザーボードはAMDの現行モデルAM4ソケットタイプ。
今回交換する主要パーツ。マザーボードはAMDの現行モデルAM4ソケットタイプ。

マザーボードはASUSのPRIME A520M-A IIを採用。このモデルはMicroATXフォームファクターで、DDR4メモリスロットを4つ備えており、これまで使用してきたメモリをそのまま利用できます。また、M.2スロットも搭載しており、高速なNVMe SSDの取り付けが可能です。

AM4ソケットを露出した様子。
カバーを外しAM4ソケットを露出した様子。ピン折れしないように!
Ryzen 5 5600を乗せます。
CPU Ryzen 5 5600を乗せました。この後リテールファンを取り付けますが、付属のグリスを剥がしてから再湿布します。

ストレージには、当初WD BLUEの500GB SSDを検討していましたが、ちょうどWD BLACK 500GBモデルが値下がりしていたため、こちらを選びました。WD BLACKシリーズは高速な読み書き速度を誇り、クリエイティブな作業にも最適です。

当初予算のためWD BLUEの予定でしたが、お客様に相談せず上位モデルのWD BLACKに変更!これが後に感謝されることに…。
当初予算のためWD BLUEの予定でしたが、お客様に相談せず上位モデルのWD BLACKに変更!これが後に感謝されることに…。
WD BLUEには必要なかったはずの豪華なヒートシンク。WD BLACKは業務用途なので発熱が心配。これも勝手に変更(笑)。
WD BLUEには必要なかったはずの豪華なヒートシンク。WD BLACKは業務用途なので発熱が心配。これも勝手に変更(笑)。

CPUにグラフィックス回路が内蔵されていないため、別途グラフィックカードが必要です。これにはファンレスで静音性に優れたモデルのASUS GT710を選択しました。HDMI、DVI、VGAといった複数の出力端子を備えており、VRAMは2GB搭載しています。ゲームや3Dといった高負荷な作業には力不足ですが、PhotoshopやIllustratorといった2Dグラフィックスの作業には十分な性能を発揮します。

2Dメインの軽作業にはもってこいのGPU。NVIDIA GT710搭載のファンレスモデル。しかもASUSの2GBモデル!
2Dメインの軽作業にはもってこいのGPU。NVIDIA GT710搭載のファンレスモデル。しかもASUSの2GBモデル!
やや横から見るとこんな感じ。放射線に開いた形になったヒートシンクになっています。ケースパネルの2基のファンを利用します。
やや横から見るとこんな感じ。放射線に開いた形になったヒートシンクになっています。ケースパネルの2基のファンを利用します。

宅内でLANケーブルが配線されていない場所でのご使用ということでしたので、Wi-Fiカードを追加し、無線でのインターネット接続にも対応しました。

RAMは旧PCからの流用でCrucial製です。DDR4-2133ですが今でも十分使えます。8GBのDIMMを4枚差して32GBです。ちなみにこのマザーボードには最大128GBまで対応しています。
RAMは旧PCからの流用でCrucial製です。DDR4-2133ですが今でも十分使えます。8GBのDIMMを4枚差して32GBです。ちなみにこのマザーボードには最大128GBまで対応しています。
自宅の2階にはLANケーブルがないので、無線で通信できれば…。ということでWi-Fiカードを追加しました。マザーボードのPCIeスロットは満杯です。
自宅の2階にはLANケーブルがないので、無線で通信できれば…。ということでWi-Fiカードを追加しました。マザーボードのPCIeスロットは満杯です。

既存部品を流用した組み立ては時間がかかります。まず主要な部品を取り外し、新しいマザーボードにCPU、メモリ、SSDを取り付けてからケースに収めます。このケースは堅牢で、現代のデザインとは異なる無骨さが魅力です。ファンは合計6つ搭載されており、これまではフロントファン以外がすべて排気という負圧構成でした。しかし、ファンレスのGPUやSSDの冷却を考慮し、ファンの向きを調整してエアフローを最適化しました。

フロントのシャドゥベイは5.25インチが4つ、3.5インチが6つ!
フロントのシャドゥベイは5.25インチが4つ、3.5インチが6つ!
ファン用電源は4ピン電源からの分岐・分配を工夫してつないでいました。
ファン用電源は4ピン電源からの分岐・分配を工夫してつないでいました。
部品交換後の様子。配線もすべて終わった状態です。
部品交換後の様子。配線もすべて終わった状態です。
この時代のケースは裏面配線ようのスペースが狭いので結束バンドを駆使して固定しています。
この時代のケースは裏面配線ようのスペースが狭いので結束バンドを駆使して固定しています。

BIOSを確認し、Windows11 Homeをインストールして完成です。お客様からは、仕上がりに大変満足いただき、特に長年愛用してきたケースを活かした再構築に喜んでいただけました。

側面パネルを取り付ければ完了の状態で、お客様にお見せしました。
側面パネルを取り付ければ完了の状態で、お客様にお見せしました。自作歴が長いお客様も予想以上のデキに驚いていました。

自作経験の長い方は、2000年代のケースがいかに無骨で合理的な設計・デザインだったかがご理解いただけると思っています。最近のケースが軟弱というわけではありません。肉厚なスチールだったり拡張性が高く、見た目よりも機能性を重視していた傾向が強い時代でした。そのため材質も良く色あせず合理的で、長く愛用するには非常に重宝する形です。令和になってからこういうデザインのケースはめっきり見なくなり、もう入手できなくなっているのは少し残念です。

今回も記事が長くなりましたが、パソコンのことで何かお悩みがありましたら遠慮なく当社にご相談ください。

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